会長挨拶

創立140周年記念事業の始動にあたって

第11代 同窓会長  髙 橋 一 夫

 会員の皆様にはますますお元気でご活躍のことと拝察し、お慶び申し上げます。また、日頃より同窓会活動に対する深いご理解とご協力を賜り、衷心より感謝申し上げます。
 さて、2年後の令和6年10月に迎える母校創立140周年を前に、去る6月10日に、記念事業実行委員会設立総会が開催され、いよいよ記念事業が動き始めました。今回の記念事業は、母校のご要望も踏まえて「正門の復元建設及び周辺の環境整備」を実施する予定です。そこで、同窓会長として一言ご挨拶とお願いを申し上げます。
 私たちが母校で過ごした懐かしい日々は、もはや遠い昔話となってしまいましたが、それでもしばし在学当時に思いを馳せれば、さまざまな思い出の一つ一つがいまだ色褪せることなく鮮やかに甦ります。無事に合格を果たした喜びも束の間、入学早々の応援歌練習では「おお勝利 来たれ我らに」と精一杯の声を張り上げたこと。我々を指導する応援団の先輩の圧倒的な存在感に、代々受け継がれてきた「質実剛健」の気風の一端を垣間見たような思いでした。腕時計の長針が一回りしてもまだ終わらない65分授業の長さにも次第に慣れてくると、少しずつ校内の様相も見えてきます。名物教師と謳われたベテランの先生の授業に漲る気迫は、隣のクラスで授業を受けている私たちまで緊張させたものです。クラス対抗で競い合った校内駅伝、数日間にわたるクラスマッチ、「太鼓橋」を渡って食堂へ行けば、たしか「パンプル」という名前だったような、よそではあまり見かけない名前の飲み物や「頭脳パン」……。今と違ってエアコンなど思いもよらなかった炎天下の夏休み、涼風の吹く廊下に机を並べて受験勉強に励んだ「夏の陣」、時には遠慮の無いヤジも飛び交う生徒総会、卒業生を送る三年担任団の熱演に沸いた予餞会……。そういえばあの頃は、自習となった授業時間に他の授業を繰り上げていただき、早く帰宅できる「放課」という仕組みもありました。掃除や部活動はどうだったのでしょう、もはや記憶は定かではありません。パソコンもスマホもない時代でしたが、今に比べると何かとおおらかな時代だったように思います。
 山形中学校、山形一高、そして山形東高校、たとえ時の流れと共に校名は移り変わっても、母校に寄せる私たちの想いは、おそらく変わることはないでしょう。恩師の先生方、先輩、同学年の仲間たち、さまざまな奇縁と邂逅を通して、母校は私たちを育み、私たちの成長を促してくれました。現在の自分を自分たらしめている根底に母校の存在がある、私にはそう思えてなりません。旧校舎で学ばれた先輩世代の皆様も、現校舎で学ばれた若い世代の皆様も、「母校」という言葉を耳にして思い浮かぶ光景はさまざまかと思いますが、母校での若かりし日々を思い起こすよすがとして、今回の記念事業にご賛同いただければ、これに勝る喜びはありません。皆様のご理解とご協力を心からお願い申し上げる次第です。